トレーラーハウスに建築基準法は適用される?トレーラーハウスに関する規制を解説
「移動できる家」として、日本でも徐々に知名度を上げているトレーラーハウス。住居用や事業所用として活用でき、街中でトレーラーハウスを見かけることが増えてきました。
しかし、トレーラーハウスにどのような規制が適用されるのか詳しく知らないという方は多いでしょう。
今回は、トレーラーハウスに関する規制について詳しく解説します。規制を遵守しなければ様々な不都合が生じる可能性があるため、購入前にしっかり理解を深めておきましょう。
Contents
トレーラーハウスに建築基準法は適用されない!
結論から申し上げると、原則としてトレーラーハウスに建築基準法は適用されません。トレーラーハウスは「車両を利用した工作物」に該当し、車両として扱われるからです。
トレーラーハウスとよく比較されるコンテナハウスやプレハブ住宅は、建築物として扱われるため建築基準法が適用されます。建築基準法が適用されることによって、建築確認申請が必要になったり、固定資産税がかかったりします。
建築基準法の適用を受けないことによって、トレーラーハウスには様々なメリットがあるので、次章で詳しく解説します。
建築基準法の適用を受けないメリット
建築基準法の適用を受けないことのメリットは、主に以下の5点です。
- 建築確認申請が不要である
- 基礎工事が不要である
- 建ぺい率・容積率の規制を受けない
- 市街化調整区域に設置できる
- 固定資産税がかからない
建築確認申請が不要である
建築確認申請とは、設計図や工事計画書などの書類をもとに、建築基準を満たしている安全な建物であるかどうかを確認する手続きのことです。建築物に該当するものは、建築確認申請を行わなければならず、もし建築確認申請をせずに建築してしまうと違法建築物に該当します。
建築確認申請は専門家の力を借りる必要があり、申請代行費がかかったり、認定されるまでに時間がかかったりと、何かと不都合が生じるでしょう。
上記でもお伝えしましたが、コンテナハウスやプレハブ住宅は建築物に該当するため建築確認申請が必要ですが、トレーラーハウスは車両扱いのため、建築確認申請は不要です。
建築確認申請にかかるお金を節約できたり、手続きの手間が省けたりするためスムーズに設置することができるでしょう。
基礎工事が不要である
建築物には、自然災害や地面の陥没によって建物が倒壊するリスクを低減するため、建物の土台となる基礎工事が必須です。地面を掘り下げ、コンクリートと鉄筋によって丈夫な基礎を築かなければなりません。
安全性を確保するうえでは基礎工事を行うことは仕方ないことですが、基礎工事にも多くの費用と時間がかかります。
しかし、トレーラーハウスは建築基準法の適用を受けないため、基礎工事が不要です。基礎工事にかかる多額の費用や工事期間を省くことができるのも、トレーラーハウスならではのメリットといえるでしょう。
建ぺい率・容積率の規制を受けない
建物は、敷地面積に対して建築物の面積が占める割合である建ぺい率や、延床面積の割合である容積率によって、その大きさが制限されています。建ぺい率、容積率ともに各自治体によって上限が定められており、それを超える大きさまで増築することはできません。
しかし、トレーラーハウスは建築基準法が適用されないため、建ぺい率・容積率の規制も受けることがありません。仮に現在の住まいが建ぺい率・容積率の規制によって増築することができないとしても、同じ敷地内にトレーラーハウスを設置して居住スペースを広げることが可能です。
建ぺい率・容積率に関する詳しい情報は、こちらの記事を参照してください。
建ぺい率・容積率が理由で増築できない場合の解決策は?
「建ぺい率や容積率が上限に達していて増築できない」このようなお悩みを抱えている方に向けて、詳細や解決策を解説します。
市街化調整区域に設置できる
市街化調整区域とは、都市計画法によって定められている「市街化を抑制すべき区域」のことです。無秩序な市街化を防止することで、むやみに人口が増加することを防いだり、計画的に都市開発をすることを目的として、市街化調整区域が設けられています。
一般的に、市街化調整区域には建築物を新たに建築することはできません。すでにある建築物であっても、建て替えやリフォームに自治体の許可が必要になるなど、多くの規制があります。
ですが、車両であるトレーラーハウスの場合、市街化調整区域にも問題なく設置することが可能。車庫証明さえ取得できれば、基本的にどこでもトレーラーハウスを設置できるため、土地選択の幅が広がります。
市街化調整区域の土地は格安で購入できることが一般的で、新たにトレーラーハウスを設置する土地を購入する際も、初期費用を抑えられるというメリットがあります。
固定資産税がかからない
建築物である不動産には固定資産税がかかるため、毎年多額の税金を納めなければなりません。固定資産税だけでなく、購入時には不動産取得税、登録免許税といった不動産に関わる税金が課され、税金だけでも多額の費用を負担することになるでしょう。
トレーラーハウスであれば、固定資産税をはじめとした不動産に関わる税金が課されることはありません。車両扱いになるため、自動車重量税や自動車税など、自動車に関わる税金を納める必要はありますが、不動産の税金に比べれば遥かに少額で済みます。
初期費用・維持費が大きく抑えられるという点は、トレーラーハウス最大のメリットと言っても過言ではありません。
トレーラーハウスに適用される主な規制
建築基準法が適用されないトレーラーハウスですが、道路運送車両法の適用を受けるため、道路運送車両法で定められる規制を遵守する必要があります。道路運送車両法を遵守し、合法的なトレーラーハウスにするためには、主に以下の3点に注意しなければなりません。
- サイズ
- 設置場所
- ライフラインの接続
サイズ
道路運送車両法では、普通車両として認められるサイズが規定されています。(保安基準第2条)サイズを規格内に収めることで、一般的な自動車と同じようにナンバーを取得して公道を走ることが可能です。
道路運送車両法で定める普通車両のサイズは、以下の通りです。
- 全長:12.0m未満
- 全幅:2.5m未満
- 全高:3.8m未満
通常は上記のサイズをどれか1つでも超えてしまうと、特殊車両と分類されるためナンバーが取得できません。また、公道を走る際は、基準緩和申請や特殊車両通行許可の手続きをしなければならなくなり、手間や費用が発生します。
しかし、HCTのトレーラーハウスはシャーシのみを制限サイズ内で車両登録を行い、ハウス部分を積載物とすることで、大型サイズのトレーラーハウスにおいても車検・ナンバーを取得しております。公道を走行する際も、特種車両通行許可の手続きのみで基準緩和申請は不要となります。
設置場所
普通車両としてナンバーを取得するためには、車庫証明登録をしなければなりません。そして、車庫証明を登録するためには、住民登録している本拠地から直線距離で2km圏内の土地に設置しなければなりません。
本拠地をトレーラーハウスに移さず、本拠地から離れた土地にトレーラーハウスを設置したい場合は注意が必要です。なお、事業所用としてトレーラーハウスを登録する際は、トレーラーハウスを設置する土地を事業所の住所として登録すれば問題ありません。
ライフラインの接続
生活する上で、電気・水道・ガスといったライフラインは欠かせません。トレーラーハウスはキャンピングカーとは違い、ライフラインを接続することができます。
しかし、車両として扱われるためには、随時かつ任意に移動できる状態にしておかなければなりません。ライフラインを通常の住宅と同じ状態で接続すると、電気や水道をすぐに切り離すことができないため、随時かつ任意に移動させることができない状態であるとみなされます。
工具無しでライフラインを脱着できる状態で接続しなければ、建築基準法の適用を受けてしまうでしょう。
トレーラーハウスが建築基準法の適用を受けるケース
冒頭で、トレーラーハウスは原則として建築基準法の適用を受けないと説明しましたが、例外もあります。以下の項目にどれか1つでも当てはまった場合、建築物とみなされ建築基準法の適用を受けるでしょう。
- 固定物が付属しており、移動に支障が出る
- ライフラインを簡単に切り離すことができない
- 設置場所から公道に出る道がない
- タイヤを取り外しており、他の場所に移動できない
上記のことから、車両として扱われるためのポイントはやはり、「随時かつ任意に移動できる状態」であること。固定物が付属していたり、ライフラインをすぐに脱着できない状態で接続したりすると、すぐに動かすことができず車両として認められなくなります。
設置場所から公道に出る道を塞いでしまうと、動かすつもりがないということでこの場合も建築物に該当します。タイヤを取り外している場合も同様です。
トレーラーハウスが建築基準法の適用を受けるとどうなる?
トレーラーハウスが車両としての基準を満たせず、建築基準法の適用を受けてしまうとどうなるのでしょうか。基本的には、次のことが必要になります。
- 市街化調整区域への建築申請を行う
- 建築確認申請を行う
- 基礎工事を実施する
- 不動産に関わる税金を納める
トレーラーハウスを市街化調整区域に設置する場合、原則として市街化調整区域には建築物を建築することができないため、建築申請をする必要があります。各都道府県知事に申請して、許可が降りれば建築確認申請の手続きに進めますが、許可が降りない場合はその場所にトレーラーハウスを置くことができません。
建築基準法に該当するトレーラーハウスには、建築確認申請と基礎工事が必須となります。基本的にはシャーシからタイヤを取り外すことになるでしょう。
トレーラーハウス購入時は不動産取得税、登録免許税を納める必要があり、その後も毎年固定資産税や都市計画税といった不動産に関わる税金を納めなければなりません。
購入時は車両として認められていても、使用中に車両ではなく建築物に該当してしまうと、その時点で建築基準法の適用を受けるという点に注意が必要です。使用中に建築物に該当した時点で違法建築物とみなされてしまうため、継続して建築物に該当しないための条件を満たさなければなりません。
建築基準法の適用を受けないための注意点
トレーラーハウスを使用中に建築物とみなされないよう、次のことに注意しましょう。
- 付属設備と固定しない
- 公道までの道を塞がない
- 自治体が定める規制を確認する
付属設備と固定しない
トレーラーハウスを設置する際、ウッドデッキを設けるという事例がよく見られます。ウッドデッキを設置することで、屋外へ居住スペースを拡張することができ、広々と活用することができます。
しかし、ウッドデッキを設置する際はトレーラーハウスとウッドデッキを固定してはいけません。もしウッドデッキとトレーラーハウスを固定してしまうと、随時かつ任意にトレーラーハウスを動かすことができないため、建築物に該当してしまうでしょう。
ウッドデッキのみならず、その他の付属設備をトレーラーハウスの外側に設置する場合は、トレーラーハウスと固定しないように注意しなければなりません。
付属設備を固定するのであれば、移動に問題のない状態で、保安基準第2条に規定されているサイズを超えない大きさのものにしましょう。プロパンガスやエアコンの室外機は、トレーラーハウスの外壁に積載することが認められています。
公道までの道を塞がない
トレーラーハウスを公道まで移動させることがないと、建築物とみなされるため公道までの道を塞いではいけません。例え設置場所から動かすつもりがないとしても、公道までトレーラーハウスが通れる幅の道を確保し続けなければなりません。
ナンバーを取得しているトレーラーハウスは、基本的に毎年車検を受けなければならないため、定期的に公道に出なければなりません。トレーラーハウスの周りを庭で囲ったり、小屋を設置したりして道を塞がないようにしましょう。
自治体が定める規制を確認する
道路運送車両法に定められている規制を遵守していたとしても、トレーラーハウスに関して独自の規制を設けている自治体もあります。自身では問題ないと思っていても、自治体の定める規制を遵守していなければ、その土地では車両ではなく建築物として扱われてしまうでしょう。
自治体が定める規制を知らずに自身の判断でトレーラーハウスを設置してしまえば、違法建築物として罰則を受ける可能性があります。自治体から電気・ガス・水道の供給を止められてしまうなど、強制力のある行政処分を受けてしまうでしょう。
必ずトレーラーハウスを設置する土地の自治体が定める規制を確認してから、トレーラーハウスを設置してください。
トレーラーハウスの設置地面には注意が必要
トレーラーハウスが建築基準法の適用を受けない場合、基礎工事を実施する必要はありませんが、設置する場所の地面には注意が必要です。地面に関して規制が設けられているわけではないものの、以下のような地面はトレーラーハウスの設置に適していないため、整地しましょう。
- 柔らかい土の地面
- 傾斜・段差のある地面
地面が柔らかい土であれば、トレーラーハウスの重さに耐えられず地面に亀裂が入る、タイヤがスタックするなどのトラブルが発生する可能性があります。トレーラーハウスを水平に設置するためにも、傾斜や段差がある地面も避けるのがベターです。
反対に、以下の地面はトレーラーハウスの設置に適しています。
- 砂利を転圧した地面
- アスファルトの地面
- コンクリートの地面
設置する土地を選ぶ際の参考にしてください。
規制を遵守してトレーラーハウスを設置しよう
トレーラーハウスに関する様々な規制について解説しました。
トレーラーハウスは、原則として建築物ではなく車両として扱われるため、建築基準法が適用されません。道路運送車両法が適用されるので、建築物に該当しない条件をよく理解して規制を遵守しましょう。
HCTトレーラーハウスでは、規制をはじめとしたトレーラーハウスに関する様々な疑問にお答えします。トレーラーハウスに関して何か気になることがあれば、いつでもお気軽にご連絡ください。
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